出雲大社お参りの仕方を徹底解説する完全ガイド

出雲大社へのお参りを計画しているけれど、「普通の神社と作法が違うらしい」と聞いて不安に感じていませんか。
実はその通りです。出雲大社には、一般的な神社とは異なる独自の参拝作法があります。もっとも有名なのが「二拝四拍手一拝」という拝礼方法ですが、それだけではありません。参道の歩き方から手水の作法、正しい参拝ルートまで、知っておくべきポイントがいくつもあります。
個人的に何度か出雲大社を訪れた経験から言えるのは、正しい作法を知っているだけで、お参りの充実感がまったく違うということです。この記事では、初めて出雲大社を訪れる方でも迷わないよう、到着から参拝完了まで一連の流れを丁寧にご案内します。
この記事で学べること
- 出雲大社だけの「二拝四拍手一拝」は一般神社の拍手の倍で意味が深い。
- 正式な参拝ルートを知ると見落としがちな摂社末社もすべて巡れる。
- 参道は中央を避けて端を歩くのが出雲大社の基本マナー。
- 手水舎での清め方を正しく行うと参拝の心構えが整う。
- 服装や持ち物など事前準備を整えれば当日慌てずに済む。
出雲大社が一般の神社と異なる理由
出雲大社は、正式名称を「いづもおおやしろ」と読みます。
祭神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。「因幡の白兎」の神話で知られ、縁結びの神様として広く信仰されています。ここでいう「縁」とは、恋愛だけでなく、仕事や人間関係、あらゆるご縁を指します。出雲大社のご利益は縁結びにとどまらず、多岐にわたるのです。
では、なぜ参拝作法が他の神社と違うのか。
出雲大社は「神社の中の神社」とも呼ばれる格式の高さを持ち、古来から独自の祭祀形式を守り続けてきました。伊勢神宮が天照大御神をお祀りする「天つ神」の最高峰であるのに対し、出雲大社は「国つ神」の最高峰。この対比が、独自の作法を生んだ背景にあります。
特に旧暦10月、全国の神社では「神無月(かんなづき)」と呼ばれる時期に、出雲だけは「神在月(かみありづき)」と呼びます。全国の八百万の神々が出雲に集まるとされるためです。この時期の参拝は特別な意味を持ちます。
参拝前に知っておきたい事前準備

服装のマナー
出雲大社は観光地としても人気ですが、あくまで神聖な場所です。
特別な正装が必要というわけではありません。ただし、露出の多い服装やサンダルは避けたほうが無難です。御本殿への特別参拝を希望する場合は、男性はスーツにネクタイ、女性はそれに準じた正装が求められます。
普段の参拝であれば、清潔感のある服装を心がけるだけで十分です。歩きやすい靴を選ぶことも大切で、境内はかなり広く、砂利道も多いためヒールの高い靴は避けましょう。
持ち物チェックリスト
参拝の持ち物チェックリスト
出雲大社の正しい参拝ルートを順番に解説

ここからが本題です。出雲大社には推奨される参拝ルートがあり、この順番を守ることで正式なお参りができます。
第一歩は正門鳥居(宇迦橋の大鳥居)から
出雲大社の参拝は、正門にあたる宇迦橋の大鳥居をくぐるところから始まります。
鳥居をくぐる前に、まず一礼します。これは「これから神様の領域に入ります」という挨拶です。鳥居の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。端を通るのが礼儀です。
下り参道を歩く
出雲大社の参道は、全国でも珍しい「下り参道」になっています。
通常の神社は本殿に向かって登っていくのが一般的ですが、出雲大社では鳥居をくぐると緩やかに下っていきます。この独特の構造も、出雲大社ならではの特徴です。松並木が美しい参道を、心を落ち着かせながらゆっくりと歩きましょう。
参道の中央は避け、左右どちらかの端を歩くのがマナーです。
祓社(はらえのやしろ)で穢れを祓う
下り参道の途中、右手に小さなお社があります。これが祓社です。
ここは見落としがちですが、参拝の最初に立ち寄るべき重要なスポットです。祓社では、心身の穢れを祓い清めてから本殿に向かうのが正式な作法とされています。ここでの拝礼は一般的な「二拝二拍手一拝」で構いません。
手水舎で心身を清める
松の参道を抜けると、手水舎が見えてきます。
手水の作法は全国共通ですが、改めて正しい手順を確認しておきましょう。
右手で柄杓を取る
柄杓に水をたっぷり汲み、まず左手に水をかけて清めます。
左手に持ち替える
柄杓を左手に持ち替え、今度は右手に水をかけて清めます。
口を清める
再び右手に持ち替え、左手に水を受けて口をすすぎます。柄杓に直接口をつけないでください。
柄杓を清める
最後に柄杓を立てて残りの水で柄を洗い流し、元の位置に伏せて戻します。
一連の動作を、一杯の水で行うのがポイントです。途中で水を汲み直すのは作法としてあまり美しくありません。
拝殿での参拝「二拝四拍手一拝」
いよいよ拝殿に到着です。ここが出雲大社の参拝でもっとも重要なポイントになります。
出雲大社の拝礼作法は「二拝四拍手一拝(にはいしはくしゅいちはい)」です。
一般的な神社では「二拝二拍手一拝」ですが、出雲大社では拍手を4回打ちます。これは出雲大社独自の作法であり、「しあわせ」の「四(し)」にかけて「幸せの拍手」とも呼ばれています。
具体的な手順は次の通りです。
① 賽銭箱にお賽銭を静かに入れる。投げ入れるのではなく、そっと入れるのが丁寧です。
② 姿勢を正し、深く2回お辞儀をする(二拝)。腰を90度に折るくらい深く頭を下げます。
③ 胸の高さで両手を合わせ、右手を少し下にずらして4回拍手を打つ(四拍手)。
④ 両手を合わせたまま、心の中で感謝や祈りを捧げる。
⑤ 最後に深く1回お辞儀をする(一拝)。
御本殿の周囲を時計回りに巡る
拝殿での参拝を終えたら、そこで帰ってしまう方が多いのですが、実はここからが大切です。
出雲大社の正式な参拝では、御本殿の周囲を時計回りに一周します。
御本殿の裏手には素鵞社(そがのやしろ)があります。素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りするお社で、パワースポットとしても知られています。御本殿の真裏にあたるこの場所は、大国主大神にもっとも近い位置とされ、ぜひ立ち寄りたいポイントです。
また、御本殿の西側には、大国主大神が西を向いてお座りになっているとされる場所があります。ここにも参拝所が設けられており、正面だけでなく西側からも手を合わせるのが通の参拝方法です。
神楽殿の大注連縄に参拝
出雲大社といえば、あの巨大な注連縄(しめなわ)を思い浮かべる方も多いでしょう。
長さ約13メートル、重さ約5.2トンという日本最大級の注連縄が掛かっているのは、実は拝殿ではなく「神楽殿」です。多くの方が拝殿の注連縄と混同しがちですが、あの有名な大注連縄は神楽殿にあります。
ここでも参拝作法は同じく「二拝四拍手一拝」です。
参拝ルートの全体像を視覚的に確認

出雲大社の参拝順序を整理すると、以下のような流れになります。
所要時間の目安としては、ゆっくり巡って60〜90分程度です。写真撮影やお守りの授与を含めると、2時間ほど見ておくと安心です。
お賽銭と祈り方のポイント
お賽銭の金額に決まりはある?
結論から言うと、お賽銭の金額に決まりはありません。
「ご縁がありますように」という語呂合わせで五円玉を入れる方が多いですが、金額の大小で御利益が変わるものではないとされています。大切なのは金額ではなく、感謝の気持ちです。
ただし、複数の摂社末社を巡ることを考えると、五円玉や十円玉を多めに用意しておくと便利です。
何をお祈りすればいいのか
お祈りの内容について悩む方も多いようです。
基本的には、まず日頃の感謝を伝え、その後に願い事を述べるのが良いとされています。いきなり「〇〇をお願いします」と切り出すのではなく、「いつもお見守りいただきありがとうございます」という感謝から始めましょう。
また、自分の名前と住所を心の中で伝えるという作法もあります。「どこの誰がお参りに来たのか」を神様にお伝えするという考え方です。
知っておくと差がつく参拝のコツ
参拝のベストな時間帯
出雲大社の参拝時間は、3月から10月は午前6時から午後8時、11月から2月は午前6時30分から午後8時です。
おすすめは早朝の時間帯です。観光客が少なく、清々しい空気の中で静かにお参りできます。特に朝の松の参道は格別で、木漏れ日が差し込む光景は心が洗われるようです。
稲佐の浜の砂を持参する
出雲大社の参拝をさらに特別なものにしたい方には、稲佐の浜の砂を素鵞社に納めるという習わしがあります。
稲佐の浜で砂を少しいただき、素鵞社の床下にある砂と交換する形で持ち帰ります。この砂はお清めの砂として、自宅の敷地に撒くなどして使われます。出雲大社の参拝前に稲佐の浜に立ち寄るルートを組むと、より充実した参拝になるでしょう。
参拝後の楽しみ方
参拝を終えたら、出雲大社周辺の観光も楽しみましょう。神門通りには出雲ならではのお店が並び、出雲そばをいただくのも参拝後の定番です。三段の丸い漆器に盛られた「割子そば」は、出雲でしか味わえない名物です。
参拝時のマナー
- 鳥居の前後で一礼する
- 参道は端を歩く
- 静かに敬意を持って行動する
- 撮影禁止エリアを守る
避けるべき行為
- 注連縄に硬貨を投げる
- 参道の中央を堂々と歩く
- 大声で騒ぐ・走り回る
- 御本殿内部を無断撮影する
遠方で参拝が難しい方へ
出雲大社に行きたいけれど、距離や体調の問題で難しいという方もいらっしゃるでしょう。
実は出雲大社には各地に分祠・分院があり、東京の六本木にも「出雲大社東京分祠」があります。同じ大国主大神をお祀りしており、同様のご利益をいただけるとされています。出雲大社に行けない場合の代替手段についても選択肢はありますので、無理をする必要はありません。
よくある質問
出雲大社の参拝は「二拝四拍手一拝」以外の作法でもいいですか?
一般的な「二拝二拍手一拝」で参拝しても、失礼にあたるわけではありません。ただし、せっかく出雲大社を訪れるのであれば、出雲大社の正式な作法である「二拝四拍手一拝」で参拝されることをおすすめします。この作法は出雲大社の長い歴史の中で受け継がれてきたものであり、より深い参拝体験につながります。
参拝にかかる時間はどのくらいですか?
拝殿でのお参りだけであれば15〜20分程度ですが、正式なルートで御本殿を一周し、神楽殿まで巡ると60〜90分が目安です。御朱印やお守りの授与、写真撮影を含めると2時間程度を見込んでおくと余裕を持って参拝できます。
お賽銭は五円玉でないといけませんか?
五円玉でなければならないという決まりはありません。「ご縁」の語呂合わせで五円玉が好まれますが、金額や硬貨の種類よりも、感謝の気持ちを込めてお供えすることが大切です。複数の摂社末社を巡る場合は、小銭を多めに用意しておくと便利です。
出雲大社で写真撮影は可能ですか?
境内の多くの場所では写真撮影が可能です。ただし、御本殿の内部や一部の神聖なエリアでは撮影が禁止されています。撮影禁止の表示がある場所では必ずルールを守りましょう。また、他の参拝者への配慮も忘れずに。三脚を使った長時間の撮影は避けたほうが良いでしょう。
雨の日でも参拝できますか?
雨の日でも問題なく参拝できます。むしろ「雨の日の参拝は神様に歓迎されている証」という言い伝えもあり、雨の出雲大社には独特の趣があります。ただし、砂利道が滑りやすくなるため、歩きやすい靴と雨具の準備は必須です。山陰地方は天候が変わりやすいので、晴れの予報でも折りたたみ傘を持参することをおすすめします。
出雲大社のお参りは、正しい作法を知っているだけで体験の質が大きく変わります。「二拝四拍手一拝」という独自の拝礼作法、祓社から始まる正式な参拝ルート、御本殿の西側からの参拝。これらを押さえておくことで、出雲大社の奥深い魅力をしっかりと感じ取ることができるはずです。
ぜひこの記事を参考に、心に残る出雲大社参拝を楽しんでください。